雲上の楽園 東北百名山 虎毛山を行く
7月11日(月) 晴れ
所要時間6時間30分(登り:3時間10分 下り:2時間30分 休憩:50分)
赤倉沢登山口→フタリシズカの群落→倒木のオブジェ→夫婦桧→高松岳分岐→虎毛山→夫婦桧→倒木のオブジェ→フタリシズカの群落→赤倉沢登山口
山登りを始める前にはまっていたのが渓流釣り。今から15年ほど前、毎年のように通っていたのが秋田の秋の宮温泉郷近くの川でした。
朝早く渓流釣りに出かけると、登山客の車が先に止まっていることがよくありました。当時の自分は「魚も釣らないで、ただ登るだけで楽しいのかな~」なんて思ってましたが、いま、自分がその山登りにはまっているなんて不思議です。
釣りにしか興味がなかった自分ですが、当時からずっと宿泊している新五郎湯という湯治宿には、虎毛山の写真が飾っており、その存在は知っていました。そして、この夏、渓流釣りを兼ねて秋の宮温泉郷を訪問。メインの目的として虎毛山に登ります。
↑このGoogleマップは秋田から宮城方面に向かっている状態です。右側の側道を降りていくと、赤倉沢からの登山口に行くことができます。ただ、見てわかるように宮城方面から来る場合、かなり急角度で曲がらないといけません。後ろから車が来ている場合には、事前にスピードを落としておくか、通り過ぎて宝寿温泉あたりでUターンするのが無難です。
今回は夫婦でなく、僕だけの単独登山。前日に秋の宮温泉郷に宿泊し、朝6時30分に出発。10分で赤倉沢駐車場に到着しました。夏休み前の平日ですが、先客が数台停まっています。もっと奥まで車で行くこともできるのですが、よく道が崩落しているという情報があったので、この大きなスペースに停めて歩きます。
最初はこんな感じのふつうの林道が続きます。真夏ですが、さすがに東北。朝早いと肌寒く感じます。
秋の宮付近はとにかく自然がいっぱい。このあたりの川では尺イワナも釣れますし、こういったカエルの産卵地も。
道路が崩落していない場合、車が来れる限界地点に登山届提出ボックスがありました。
水の補給地点。この先にもまだあるらしいので、ここは素通り。
30分ほど歩くと、ひらけた川原にでましたが、ここで行き止まりのように見えます。どっちに行っていいかわからない^^;; まさか川の中を通る???
右側を見上げると、かなりきつそうな崖が…。でも、こっちを通れの赤い布が。意を決して崖側を登ります。
崖側を登ると、すぐに見えたのが……、これ雪崩のあとです。そして、上の方には土を被った残雪があります。ちょっと怖かったです。
帰りに逆から歩いてわかったことですが、さっきの川原で川の脇を通れば、楽に行けたのです。わかりやすくいうと、直線で20メートルのところを崖を高巻いて50メートル歩いた感じでしょうか。
吊り橋が見えました。このあたりが最後の水場ですが、まだ1リットルほどあるので、補給せずに行きます。
案内看板。
最後の水場を出たら、いよいよ本格的な登山になります。ここ以降は急坂の連続で、かなりきつかったです。
ところどころ倒木がありました。注意の看板も目立ちます。
1時間ちょっと歩いたところで、フタリシズカの群生地が。いつか、満開のときにも来てみたい^^
たまに遠くの景色が見えるんですが、これがすごくはっきりと、美しく見えるんです。空気がきれいだからかな。
しかし、道は結構苛酷です。初心者の僕は序盤でゼーハー状態。
序盤でゼーハー状態ですが、たまにこういう景色が見えるので、なんとか登る気力も出てきます。これは鳥海山かな。
1時間半ほど歩いたところで、ひのき林に到着。登りはじめは肌寒いくらいだったのに、急激に気温が上がってきました。
すぐ近くには倒木のオブジェが。
こんな感じ。
倒木のオブジェから20分ほど歩くと、大きな桧が2本、寄り添うように立つ夫婦桧に着きました。
高松岳分岐に到着。この場所は遮蔽物がなく、日がダイレクトにあたります。早朝の涼しさがウソのように日差しがきつく、気温も相当上がってきました。ここで先行者(写真奥)とはじめて会いました。
この方はベテラン登山者で、前日夜に茨城を出発し、早朝に到着して登りはじめ、すでに下山途中とのこと。僕より全然年上なのにすごいです。
気温が急に上がってきたこともあり(あとでわかったのですが、フェーン現象が起きていたようです)、茨城の方はあまった水を持っていけと僕に渡してくれました。まだ500のペットボトルを持っていたので、大丈夫だと思ったのですが、彼がいいから持っていけというので、断るのもなんだし…ということでいただいて行きました。
このあと昼にかけてさらに気温が上がり、当初の消費量とは比較にならないほど水を消費しました。恥ずかしながら、下山時、この方からいただいた水がなかったら、相当苦しかったと思います。
名前も知らない方ですが、本当に感謝しています。ありがとうございましたm(__)m
高松岳分岐を過ぎると、坂道はなだらかになり、視界も開けて遠くの山々が見えるようになります。
空気も澄んでいて素晴らしい景色がはっきりと見えます。。
高松岳分岐から30分ほど登り、ついに頂上の山小屋を視界にとらえます。
頂上付近の最後の坂道は両側に背丈ほどの木が生えていますが、これがゴールに向かう人を出迎える花道のようです^^
着きました!頂上の石碑です。いや~、これまで登った山(といってもまだ2つ3つですけど^^;)とは比較にならないほどきつかったです。それだけに感無量。
虎毛山の山小屋です。
頂上は木道が整備され、歩きやすくなってます。気温がかなり高くなりましたが、頂上だけは涼しかったです。
池塘です。雲上の楽園と呼ばれるのはこれがあるからですね。
看板を見て植物を確認。
きれいな花が咲いてますが、ちょっと季節が遅かったみたい。
湿原に立ってセルフで撮影。
月山や鳥海山が間近に見えます。
空気が澄んでいるんで山の稜線もはっきりしています。
360度とは言いませんが、それに近いくらいの大パノラマでした。
いつまでも観ていたい景色でしたが、小屋でしばし休憩し下山します。
勾配がきつい山ですが、膝にこない道なので下りは各段に楽でした。ふたたび夫婦桧に到着。
倒木のオブジェを通過。いただいた水のおかげで無事下山できそう。
この人は地元の湯沢市の方です。脚が痛かったので最後の林道で休んでいた僕に声をかけてくれました。僕は一番手前の駐車場に車を停めたので、あと2キロほど歩かないと行けなかったのですが、、この方は登山道近くに停めたので、「手前の駐車場まで送ってあげるよ」というのです。
新しい車だったので、泥だらけの靴で汚してしまうといけないと思い、最初は断ったのですが、「気にしなくていいよ。山に来る人は基本、いい人ばかりだなぁ」などと言いつつ、乗せてくれました。
いつか、また、お会いしたいやさしい方でした。このとき山の名刺を持っていればなぁと思います。2人の男性にお世話になったとてもいい山登りでした。